Protective・Arts(プロテクティヴ・アーツ)のメイン画像

Concept(コンセプト/概念)

 Protective・Arts(プロテクティヴ・アーツ)は、スタンド・ポジション(立った状態)の闘法です。その目的は、日常において偶発的に発生する危険に対処する技術を身に付けることです。

 「危険に対処する技術」とは、相手を完全に打ち倒すことではなく、危機回避手段のひとつです。被害者になることはもちろん、一転して加害者になってしまうことも、誰しも望むところではありません。自ら正しい闘法を身に付け、最小限の力で危機回避することがその意義となります。練習過程において、柔軟で力強い身体と、相手の動きを先読みできる判断力、スピーディーな動作と反射神経が養われます。

 対峙する相手との距離や、相手が何か(武器、凶器等)を手にしているか否かにより、効果的に活用できる身体の部位も異なります。相手との距離について出現パターンを大きく分けると、ロング・レンジ(離れた状態/広い場所)、ミドル・レンジ(中間距離/お互いの攻防範囲)、ショート・レンジ(近い状態/狭い場所)の3パターンになり、それぞれのパターンに適応した闘法体系を学習します。

① Knuckle・ Shooting (ナックル・シューティング)・・・拳技による攻防技術

 拳技による攻防技術を総称して、ナックル・シューティングと呼びます。拳による打撃技とは単純ではなく、その軌道は無数にあり、攻防パターンも多岐に渡ります。パンチの基本的技術を身に付け、工夫された練習の中で、自分の身体に最適な運用方法を身に付けることができます。特に、腰の回転を利用したコンビネーションを反復練習し、連続攻撃を可能にすることが特徴です。主に、中距離(ミドルレンジ)で威力を発揮する技術です。

② Hand・Shooting(ハンド・シューティング)・・・手技による攻防技術

 パーム・シューティング(掌底)、ナイフハンド・シューティング(手刀)、スピア・シューティング(貫手)による攻防技術を総称して、ハンド・シューティングと呼びます。拳を握らず開いたままの手を使用して、素早く最短の動きを以て、相手の不意を突いて制することが可能となります。また、相手の攻撃を払い、そのまま攻撃に転じることも容易となる技法です。パーム&ナイフは、主に近距離(ショート・レンジ)で、スピアは遠距離(ロング・レンジ)で威力を発揮する技術です。万が一の護身時に、手技は有効な選択肢であり、過剰に相手を傷つけないための技術でもあります。スピア(貫手)は、一般クラスで学びます。(少年クラスでは学びません。)

③ Foot・Shooting(フット・シューティング)・・・蹴技による攻防技術

 蹴技による攻防技術を総称して、フット・シューティングと呼びます。足の力は、腕の力の3倍以上あると言われており、リーチ(届く距離)も広範囲になります。蹴りを放つ間は、一方の足が宙にあるので、一定の間は片足で体を支えることになります。安定したバランスで、鋭い蹴技を身に付けるためには、全身の柔軟性(特に股関節)が欠かせません。柔軟な身体作りとともに、多彩な蹴技を身に付けることができます。主に、長距離(ロングレンジ)で威力を発揮する技術です。

④ Needle・Shooting(ニードル・シューティング)・・・ヒジ&ヒザによる攻防技術

 ヒジ(肘撃)&ヒザ(膝蹴)による攻防技術を総称して、ニードル・シューティングと呼びます。リーチ(届く距離)は狭い範囲となりますが、鋭く堅固な部位です。相手との距離が近い場合、または既に相手と接触している状態でも威力を発揮します。相手に自分の体をつかまれたり、急に後方から押さえられた場合など、すぐにナックル(拳技)やフット(蹴技)が出せない状態でも使用可能であり、護身には欠かせない技術です。近距離(ショートレンジ)で威力を発揮する技術です。ニードル・シューティング(肘撃&膝蹴)は、一般クラスで学びます。(少年クラスでは学びません。)

⑤ Blade・Control(ブレード・コントロール)・・・防刃術

 相手が刃物類等を所持しており、無差別な襲撃を想定した技術です。攻防技術、身体移動技術の基礎が身に付いた段階で練習を開始します。防犯や護身のために、防犯アイテムや護身ツールを携帯しておく方が安心でしょうか。身に付けていない時に危険に遭遇した場合、急襲に遭い道具を取り出している時間もない場合も想定されます。犯行の第一標的となる場合、防御できる(盾となる)道具がないために被害を受けてしまうことは、昨今の事件からも見て取れます。ブレード・コントロールは、無手の状態で身体を守るための、最低限のボディ・コントロールとなります。普段の日常生活で、刃物類等を向けられることは無いに等しいため、突然の有事に対して現状認識が追いつかず、瞬間的な防御姿勢さえ取れないまま被害に遭われるケースがほとんどです。刃物類等による有事への意識、最低限のボディ・コントロール、その2つの反復訓練だけが有事における生存率を高めてくれます。